GDPRによりクッキーなども個人データの保護対象となったことで、デジタル広告業界に大きな影響をもたらしています。実際にどのような影響が出ているのか、今後の広告業界の変化について解説します。
ターゲティング広告への大打撃
デジタル広告の中でも、特に大きな打撃を受けたのはターゲティング広告です。
ターゲティング広告とは、ユーザーのWEB上での行動履歴や検索履歴を元に、WEBサイト上に最適な広告を出すマーケティングのことです。 クッキーなどを利用してユーザーの情報や行動を蓄積することを大前提としている広告配信手法のため、クッキーの取得や利用を規制対象としているGDPRの元では、広告配信先の適切性や広告の効果測定の精度が大幅に落ちることとなりました。また、別の記事で解説しているように、仮にGDPRに違反した場合、莫大な制裁金を課されることになります。
GDPRによる制裁を危惧して、広告の配信自体を止める企業も数多く現れました。 広告配信業者だけでなく、広告主企業も影響を受けています。配信枠の精度が落ちたことにより単純に広告による集客の効率が落ちたことに加えて、広告の配信状況を取得しづらくなったため、不適切な広告枠への配信を検知することも難しくなり、知らないうちに企業のブランディングに悪影響を及ぼしている可能性があるのです。
今後の広告マーケティングの変化
ターゲティング広告を始めとして多くのデジタル広告が打撃を受けたことにより、広告によるマーケティング効果が下がっていくかというと、そうとは言い切れません。
そもそも広告というのは、ターゲットとしているユーザー層に応じて配信方法を変えることが一般的です。 ターゲティング広告はすでに購買意欲が高いユーザーに対して最後の動機づけとして利用する広告手法となっており、不特定多数のユーザーに対するアプローチ手段としては不向きとされています。 逆にテレビCMやYou Tube広告、電車の中吊り広告などは不特定多数に対して認知や行動喚起を目的とした広告手法で、個人データを利用することもないためGDPRによる影響はほぼ受けていません。 ただデジタル広告の効果が薄れたことを嘆くよりも、いままでターゲティング広告に使用していた予算を別の広告に振り当てて認知ユーザーの母数を増やし、その後の購買に至るまでの戦略を練っていくことが各企業に求められています。
その戦略は何もデジタルに拘る必要はなく、リアルでの販促活動のほうが高い効果を生み出す可能性もあります。
GDPRにより広告の使用に制限がかけられている今、各企業のマーケティング部門はいまいちど原点に立ち返り、「利益を出すために何が必要か」を柔軟な発想のもとで考え直す必要があると言えます。
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