日本のクッキー規制の経緯と今後の動向について

日本でもクッキーの利用を規制しようとする動きがあります。本ページでは日本のクッキー規制の経緯と今後の動向について解説します。


クッキー規制の経緯について

2019年8月、「リクナビ」のクッキーの利用方法が問題視されました。

「リクナビ」運営元のリクルートキャリアは、応募者のクッキー情報とリクナビ上の情報を組み合わせて利用ブラウザと個人情報を特定する仕組みを利用し内定辞退率を算出していました。そのスコアを他社に販売していましたが、リクナビのプライバシーポリシーに不備があり、一部の利用者から同意を得ずに行っていたことが問題とされています。

リクルートキャリアは上記の指摘を受けサービスを中止しましたが、個人情報保護委員会は再発防止に向け、クッキー情報を利用した個人情報の特定行為を制限する方法を議論していました。


公正取引委員会の検討

2019年10月、公正取引委員会がクッキーの利用を規制する方向で検討に入ったと報道がありました。

同委員会は消費者保護を目的としてデジタルプラットフォームを運営するIT企業と消費者間の個人情報取引について整理したガイドライン案を公表し、「大手IT企業が消費者に対して優位な立場にある」と指摘した上で、独占禁止法の「優越的地位の乱用」に基づいて以下のような個人情報の取得を禁止するとしています。


  1. 利用目的を消費者に知らせない
  2. 利用目的の範囲を超える
  3. 消費者の意思に反する


また、同委員会はクッキーもガイドラインの対象として、規制を検討しています。


クッキーの規制が適用された場合

クッキーも対象として上記のガイドラインが適用された場合、日本の事業者もEEA圏での「GDPR」と同水準の対応が必要になるとされています。具体的には、自社のクッキーの取り扱いをクッキーポリシーとして明示する、WEBサイト訪問者のクッキーの取得時はダイアログなどを表示して同意をしてもらった上で取得するなどがあります。


経団連は「多くの事業者は対応に追われ、コストもかかる。経済の発展を阻害するため、新たな規制はいらない」と懸念しており、事業者の対応状況と消費者の影響も加味して、慎重に議論を進めることを求めています。

GDPR対策、日本国内のクッキー規制に関する情報を配信|GDPR-LABO

Webサイト運営者に向けたGDPR対策、eプライバシー、日本国内のCookieに関する規制情報を解説します。